甲状腺機能低下症(橋本病)
とは?
全身の新陳代謝を司る甲状腺の機能が低下すると、想像できるかと思いますが、元気が出なくなったり、疲れやすくなったり、集中力が低下したり、日中眠くなったり、太ってきたりします。甲状腺機能低下症の代表的な病気が橋本病です。
バセドウ病のページにも書きましたが、甲状腺に対する自己抗体により機能が低下する病気を橋本病と言います(対して自己抗体により機能が亢進する病気がバセドウ病)。つまり橋本病は機能低下、バセドウ病は機能亢進と、起こす症状は真逆ですが、甲状腺に対する自己抗体が機能異常を引き起こすという観点で言えば両者は親戚のような病気です。バセドウ病と同様に比較的女性に多い病気です。
甲状腺機能低下症(橋本病)
の治療
治療はバセドウ病に比べて簡単です。橋本病であろうが、その他の原因の甲状腺機能低下症(甲状腺を手術で取ってしまった人など)であろうが、治療は甲状腺ホルモン薬であるチラーヂンの補充です。糖尿病に使うインスリンとは違い、内服薬、しかも1日1回なので患者様にとっても管理が楽です。もともと身体にあるホルモンを補うというある意味サプリメントのような治療なので、妊娠中でも内服できます。患者様それぞれの適正補充量が決まれば、それをずっと飲み続けることになります。ずっと飲み続けるというと一生治らないのかと気落ちしてしまうかもしれませんが、逆にいうと1日1回内服のチラーヂンさえ飲み続ければ、健常者と全く変わらない状態になれるので、感覚的には病気であることを忘れてしまうくらいだと思います。
橋本病の自己抗体は陽性だが、甲状腺機能は正常という方
中には橋本病の自己抗体は陽性だが、甲状腺機能は正常という方がいます。実は橋本病抗体陽性の方の7−8割がこの甲状腺機能正常型の橋本病であると言われています。このような方は橋本病だとしても治療の必要はありません。ただし別ページに詳しく書きますが、妊娠を希望されている女性の方はチラーヂンの補充をした方が良い場合があるので注意が必要です。
