TOPへ

甲状腺機能亢進症
(バセドウ病)

甲状腺ホルモンとは?

甲状腺ホルモンとは?甲状腺ホルモンは全身の新陳代謝をコントロールするホルモンです。この甲状腺ホルモンがたくさん出過ぎた状態のことを甲状腺機能亢進症と言います。新陳代謝が活発になりすぎるため、心臓がドキドキがしたり(動悸)、やたら汗をかいたり(発汗)、イライラしたり、痩せてきたり、夜よく眠れなくなったりします。この甲状腺機能亢進症の代表的な病気がバセドウ病です。

甲状腺機能亢進症が
起こるメカニズム
ー自己免疫性疾患とは?ー

人間の体には免疫システムが備わっており、外からきた病原菌やウィルスは免疫システムによって排除されます。その免疫システムの一つに「抗体」というものがあり、簡単に言うとウィルスなどの異物を認識して攻撃するミサイルのような働きをします。このミサイルである「抗体」が異物を攻撃するのは良いのですが、まれに間違って自分の身体を認識して攻撃してしまうことがあります。そのような自分の組織をターゲットにしてしまう抗体を「自己抗体」、その自己抗体によって引き起こされる病気を総称して「自己免疫性疾患」と言います。リウマチなどの膠原病が自己免疫性疾患として有名です。

甲状腺もこのような自己抗体に認識されやすい臓器の一つで、間違って自分の甲状腺に自己抗体がくっついてしまう事により、機能が亢進してしまう病気をバセドウ病と言います。(別ページに詳しく書きますが、自己抗体により逆に機能が低下する病気が橋本病です)

自己抗体による病気なので、生活習慣などは発症には関係ないのですが、喫煙や過度なストレスはバセドウ病を増悪させるので注意が必要です。
女性に多く、比較的若い方でも発症する病気です。

甲状腺機能亢進症の治療

甲状腺機能亢進症の治療治療は薬物療法、放射線を使ったアイソトープ治療、手術の3つがあります。後2者は少し大掛かりな治療になりますので、まずは薬物療法を開始する場合がほとんどです。甲状腺の機能を低下させる薬(抗甲状腺薬)であるメルカゾールを使うことが多いです。若い女性に多い病気であるため、妊娠、妊活の時期と被ることがあります。その場合はチウラジールという別の抗甲状腺薬を使用します。メルカゾール、チウラジール共に滅多に起きませんが、無顆粒球症という、免疫の実働部隊のような好中球が無くなる=免疫不全状態になる、ちょっと怖い副作用があります。そのため薬物治療を開始したての頃は注意深く白血球をチェックしていく必要があります。

バセドウ病に似た病気
(無痛性甲状腺炎)もあります

バセドウ病とよく間違われる病気に無痛性甲状腺炎というものがあります。これは甲状腺の組織が壊れて、中に溜まっていた甲状腺ホルモンが一過性に血中に出てしまい機能亢進症を引き起こす病気です。この場合は自然経過で改善することがほとんどです。